【広報協力】東峰村「里山アクティビティスタッフ」募集中 2019/02/01~2019/02/15

求人 NEW

82人の個性を生かす
これからの里山に
デアを

広い青空に緑色のじゅうたんのような棚田瓦屋根の家の周りをのんびりと猫が歩いて鳥の鳴き声がこだまする

ひとつ呼吸をするだけで日本の昔話の世界にやってきたような気持ちになる

福岡県東峰村

この小さな村には31世帯82人が暮らす竹たけという地区があります

自然と歴史人の縁が息づくこぢんまりとしたこの地区に宿泊施設とキプ場カフを併設したお土産品などの販売所がオープします

建物はこの春から順に完成していくもののどんな場にするかはまさに今企画中そこで今回プ場とカフを企画運営していくスタッフを募集することになりました

具体的にはトを企画したりお土産品やカフメニーを考えたりオープに向けてすでに準備を進めているコーデネーターそして地域の人たちと一緒にアデアを形にしていきます

のどかな田舎とあなどるなかれ個性豊かな人たちが暮らすユニークな村だと感じました



羽田空港から福岡空港まではおよそ1時間半

空港で大分行きの高速バスに乗り込むと景色は高層ビル街から緑へと変わっていく

空港をたって1時間ほどで東峰村のお隣朝倉市に着いた

待っていてくれたのは阿南あなんさん竹地区のコーデネーターとして施設のオープに向けて準備を進めている方

さっきまで雨が降っていたんだけど今ちょうど上がったんですよいい写真が撮れそうですね

こちらが1つ質問すると10答えてくれるような方で車内はたちまちにぎやかな雰囲気に

昨年の6月に着任するまでは音楽や映画を扱う仕事やスタートアップ企業のサポートなどさまざまな仕事をしていたそう

漠然と若者からお年寄りまでいろんな人が集まって働けるような場をつくりたいって思っていてそんなときに知り合いが東峰村の竹地区っていうところで新しくコーデネーターを募集するみたいだよと教えてくれました

土地も雰囲気もわからずに調べてみると竹地区はかなり高齢化率が高いとわかった

でも実際に行ってみると数字では測れないくらいすごく元気な人たちがいてみなさん本当によく団結してよく笑ってよく働く

その姿を見てここなら何か面白いことをできそうだって思ったんです

話したいことはもっとあるんですよ村役場へと急ぐ阿南さん

案内された部屋にはびっしりと文字で埋まったホワトボードが4枚

聞くと阿南さんが今回のプロジクトについて考えていることやデアをまとめるために書いたそう

腰を下ろして一つひとつ話を聞いてみる

まず竹地区の里山の風景を守らなければいけないという出発点があってそうだ里山ってどんなメージを持っていますか?

えっと...まんが日本昔ばなしに出てくるような風景でしょうか

そうそう詳しくいうと人間が手をほどこして自然や生き物を守っている山や集落のことなんですよ人工のものだから放っておくと朽ちてしまうんです

竹地区の自慢はおよそ20年前に国の棚田百選にも選ばれた美しい棚田400枚もある棚田は古いものだと400年以上の歴史があるそう

百選に選ばれてからは全戸で棚田を守るための組織をつくり自分たちの手で景観を守りつづけてきた

ただ竹地区は今5割近くが65歳以上どんどん人がいなくなって技術を受け継ぐことが難しくなっているんですここで潰えてしまうとこの里山の景色は二度と戻りません

少しでも多くの人に竹地区の魅力を知ってもらい何らかの形で関わってほしい

そんな思いから村は今回のプロジクトを立ち上げることにした

棚田を一望できるところに建つ古民家を改修して宿泊施設にその近くには野菜やお米を売ったり軽食をとれたりするようなカフを併設した販売所をつくるすでにあるキプ場もリノベーシ工事がはじまっている

来年にはすべての施設が完成する予定でその後は行政のサポートも受けながら運営していく

一昨年の豪雨で宿泊施設が流されてしまった村にとってもう一度人を呼ぶための大きなきっかけになるはず

阿南さんはその場づくりを担うべく半年前から参加している

実際に来てみたらソフト面がほぼ何も決まっていない状態でしたまず竹地区を知ろうとプ場に暮らしているんですよそこですごく感じたのはただ来るだけじゃここの本当の魅力が伝わらないなってこと

竹地区にはコビニやスーパーはもちろん自動販売機すらないでも都市にないものがすべてあるんですよ

どういうことでしょう?

たとえば秋の奉納祭では自分たちで祭りに必要なしめ縄や料理をつくるほかにも休みの日に集まって炭焼き窯をつくったり山に入って雑木を整備したりしているんですよ

それにみなさん土地の風土や歴史をよく知っている味噌と米と水さえあればいくらでも生きていけるって真面目に言うんですロや電気がなくてもちょっとした道具とラターひとつあれば何でもできる人たちなんだなって

新たにできる施設はそうした竹地区の人たちのたくましさに触れたり生活を体験できたりするような場にしたいと阿南さんは考えている

改修後のキプ場のテーマは山と友達になろうトを開くのはもちろん新たにつくる図書スペースには図鑑から漫画まで山や森里山に関する本を広く集める予定

カフでは料理上手なお母さんたちに得意料理を提供してもらったり新たに竹ならではのお土産を企画したり

阿南さんからは案が次々と飛び出してくる

新しく入る人の仕事はこんなふうにどんどんアデアを出して竹の人たちと二人三脚で実行していくこと

とくに僕とはバデのような関係になるはずですせっかくの施設をただのハコモノにしないために何かしら興味を持ってもらえるようなことを常にやらないといけません

一度に1000人を呼ぶんじゃなくて毎週10人が来るような仕組みをつくりたいです

とはいえまだ生まれていない場を舞台に0から1を生み出す仕事

どんな人が来るのかどんなニーズがあるのか手探りでアデアを形にするのはなかなかハードルが高そうです

そこを楽しめるような人に来てほしいんです僕の指示待ちじゃなくてもっとこうしたら面白いんじゃないかってデアをどんどん上書きしてくれるような人がいいな

できるかできないかは関係なくて思いついたことを言ってくれていいそれを一緒に組み立てていくのが楽しいじゃないですか前例のない仕事なのでめげそうになるときもあると思いますけど楽しみながら頑張りましょう

3月にはキプ場が完成予定初夏には実際に稼働してみてトラドエラーを繰り返しながら少しずつよいものにしていく

デアを聞いていると大変そうだけど面白そう竹地区に暮らす人はどう感じているんだろう

それは直接聞いたほうがいいかもしれないね今から実際に行ってみますか



役場から車を走らせて竹地区へと向かう

鳥のさえずりや風の音以外に人工的な音がまったく聞こえない

するとこんにちは!と阿南さん

見れば車の窓を開けて対向車に話しかけていた

会話を終えて窓を閉めたあと今の方は炭焼き窯を一緒につくっている仲間のリーダーですと教えてくれた

急に明日来れる?って呼ばれたら何か外作業があるときで作業着と長靴を持っていって泥だらけになって働いて終わったらお酒を飲んで酔っ払ったみんなで横になって星空を眺めるんですよ

この日ばったり会った人たちに阿南さんが声をかける場面を何度か見た

阿南さんがどういうふうに関係をつくっているのか少し見えた気がします

いやそんな大層なことじゃなくて一緒に酒を飲んでるだけですよ仕事とプラベートのはっきりとした境界はないから仕事終わりや土日も行事や集まりにどんどん出て行きます

こういう繋がりがあるからこそ楽しいんだよね逆に自分の時間をきっぱりと持ちたい人はやっていけませんよなんて言うのか...自分を隠さなくていいと言うかさらけ出す心地よさがあるって感じかな



到着したのは竹地区を見渡せる展望台

実は竹地区は国定公園にも指定されているのだそう

約束の時間から30分ほど経ってゆっくりと坂道を登ってくる車が一台

いやあ遅れてすみませんと登場したのは熊谷くまがえさん竹地区の区長を務めている方でにこにこと優しく話してくれる

竹生まれ竹育ちで2年前から区長を務めています竹は...そうですねえよその人からも竹はいいねまとまっているねってよく言われるような地区です

とくに6070代のおっちゃんたちが元気で口は悪いんですけど根はよくて何か一つ決まればすぐに集まって何でもやります

今回のプロジクトを聞いたときはどう思いましたか?

正直失敗するんじゃないかなと阿南さんが来たときもちょっと心配したんですよねはっきりものを言う人やから竹の人も言い返すんじゃないかってでも一緒に酒を飲んでくれるしこっちに合わせてくれる今は心強いです

僕らも今何かせんと田んぼも家も人もなんもかんもなくなっちゃうっていう危機感があって地区としてやるって決めてからはみんな好きに案を出したり突拍子もないことを言ったりしていますよ

最近では棚田まもり隊として村の20代から50代までが集まる有志のグループも生まれた

竹地区の伝統となっている田植えや稲刈り体験のほかにも棚田のラトアップトや農産物を売ったり音楽を演奏したりもしたそう

みんな自分の仕事をそっちのけでやりよりますただ竹の人はトで商売しよってもすぐに値引きするしかわいいけんタダでええって言うし商売に興味がないわけじゃないけど田舎もんの知恵だけじゃやり方がわからんのです

デアの種はたくさんあると思う

阿南さんと三人で話すなかでもカフでは手摘みした山菜を天ぷらにしたり各家庭の栗の渋皮煮を味比べセットにしたりしてみたらどうだろう動物をさばくトも面白そうだといろんな案が出てきた

みんな口ではそんなんできんって言うけど絶対にやりたいですよ知って遊んで学んで帰ってもらえるような場所になればいい何よりそのためにみんなで集まれるのが僕はうれしいです

ずっと住んでいる身からすれば大きな変化です竹がちょっとでも良くなれば万々歳ですよ



帰りの車の中で阿南さんはこう言っていました

竹地区いいでしょうもっと多くの人にこんな面白いところがあるんだぞって知ってもらいたいですよければまた来てくださいよ

ここで仕事をすることは地域に根ざして生きていくことだと思います暮らしも仕事も自分次第でいくらでも面白くしていけるはず

次に竹地区を訪れたときどんな場ができているか楽しみです

2018/12/21 取材 遠藤真利奈